メッセージ。 - ベーシックインカムの話

# ベーシックインカムの話

ベーシックインカムの話|六本木で働いていた元社長のアメブロ

これを読んで、思ったこと。

ベーシックインカムってはじめて聞いた。これってうまくいくのかな? つまり、「働かないほうが全体生産性に寄与する人が存在する」ってことだよねぇ? 老人とか子供以外に。そりゃそうだろうけどそんなに数多いか? 「人類の2割だけ働けばいい」ってほどではないんじゃないかと思うなぁ。だって、その2割を抽出するためにトライ&エラーが必要だろうし、エースだけで構成された生産システムがトラブルに陥ったときのために、バックアップシステムも必要なんじゃないかな。

それと、「働いて価値をもたらしたものがトクをする」という現在の資本主義は、個々の人間や家族といった生命をベースとした人間がもつ生存欲求と、社会として価値のベクトルが一致しているから成り立っている面があると思う。つまり働いて資産を形成した者や家が長生きできるからこそ、人間は働くのだと。逆に言えば、ベーシックインカムシステムを(実装のしかたにもよるが)導入したとしても、個々人の生存欲求がそれを許さないのではないだろうか。だって、ベーシックインカムのしくみは、生産システム内部にいる人間が、外部にいる人間の生殺与奪を握るというシステムになるだろうからだ。

システムがうまく動いていて、生産システムの外部にいる人々がシステムの内部にいる人々のことを信頼できているあいだは、そのシステムはそれなりに機能するかもしれない。でも、不作の年があったり、戦争が起こったりといった外的要因があって、予定した生産量を得られなかったりすれば、分配をどうするかという問題が起こる。そうなれば、システム外部にいる人間が暴動を起こすのではないか。

こうやって見ていくと、人間相互の不信が存在するかぎり、ベーシックインカムのしくみは純度の高い形では実装しにくいような気がする。もちろん、現状の社会でもベーシックインカムのしくみはすでに実装されているともいえる。老人や子供は働かなくてよかったり、専業主婦は働かなくってもよいというのは、純度の低い形のベーシックインカムといえるだろう(主婦は働いていない、とは言ってませんです)。そういう意味では、従来の社会も十分にベーシックインカムとはいえるのかもしれないなぁ…。

あと、昔から言っているのだけど。たとえば刑務所において受刑者がもっとも辛いと感じる刑罰は、午前に地面に穴を掘って午後はそれを埋めさせることなのだそうだ。つまり、一日中無駄なことに時間を費やさせられるのが、人間にとってもっとも辛いのだという説。これが正しいのだとすれば、要するに人間は「自分は何かの役に立っている」と感じられなければ不幸なのだということのはず。ぼくはこの説を支持していて、ほとんどの人間は、「自分は何かの役に立っている」と感じることを日々の喜びとして暮らしていると思っている。ベーシックインカムを実装するのだとしたら、こういった個々人の感情や生きがい、信頼や社会性といったものを、どう実現するのかが問題になるんじゃないかという気がする。
2008-12-16 17:53:50 / ふじさわ / Comment: 0 / Trackback: 0

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