メッセージ。 - 論理的に正しいことが正しいことであるとは限らない

# 論理的に正しいことが正しいことであるとは限らない

あとは、これ。

法務だけど理系女子の綴るblog: 「男は女にやさしくすべき」と考える不幸へのコメント -「病院に行け」の怖さと、スルー力より議論力の重要性と、「優しさ」意味-
 「女性に月経がある」ということは、女性の人格形成にも多大な影響を及ぼしていると思いますので、その点も含めて配慮して欲しい

こういう意見を読んだら、ぼくはこういう風に考えてしまう。「男性に月経がないということは、男性の人格形成にも多大な影響を及ぼしていると思いますので、その点も含めて配慮して欲しい」。

でも、これって変でしょう? 男性に月経がないから、男性の人格形成に影響を及ぼしているという前半は、論理としては正しい。だけどそれは、後半の男性には配慮が必要という論拠にはならない。月経があるかないかは、男性と女性の人格に何らかの傾向をもたらす可能性がある。そこまではいいけど、この論理では、配慮が必要なのは男性なのか女性なのかまでは分からない。

配慮が必要ってことは、つまり配慮されるべき性のほうに、何らかの不足があるということでしょう? で、その配慮されるべき性は女性だと。それって真実なのかなぁ? 女性の人格には、傾向として何かの問題があるってこと? 逆の可能性だってあると思うんだけど。月経のある女性のほうが正常な人格傾向があって、月経のない男性はどこか異常で不足な可能性だってある。(詭弁だって? まぁね。この指摘にはあとで(気が向いたら)答えます)

それともあれかなぁ? どちらかに不足があるわけじゃなくて、この文脈では、「月経が存在するか否かで、男性と女性の人格には差異があると予想される。つまり、男性と女性は違う。だから、分かろうと努力しなければ、お互いに分かりあえない。男性は女性に配慮しようね(女性は男性に配慮するから)」という意見なの? 違うよね?

えーと、頭を冷やして……。月経があるということは、しんどくて嫌なことなんだと思う。ぼくには分かれないし、分かりたくもないかもしれない。(あれ? でも、「分かりたくない」と男に思わせるようじゃ、こういう意見はストラテジーとして失敗してるんじゃないかな? や、まぁそれはいいとして、)そのしんどさは、やっぱり言葉では伝えにくいもののような気がする。

とくに、こういうインターネット上で、多くの人に対して「だから女の子には優しく☆」と言うのは、ちょっと違うんじゃないかな。「女の子に優しく☆」じゃなくて、「私に優しく☆」のほうが、誠実で本当だと思う。「女の子に優しく☆」とプロパガンダを広めることは、本質的じゃないアプローチだ。世の男どもが女の子たち全般に優しくしたところで、問題は解決しない。

女の子がみな、それほど重い生理に苦しんでいるわけじゃない。世の男は全員、その程度重い生理を想定して女の子に優しくせよと言うのなら、男たちにかかる負担はどこかに軋轢を生む。それが何につながるかを考えたら、「女は女らしく、男の庇護(支配)下に置かれるべきだ」という方向に行きがちなんじゃないかな。

でも、それって嫌だよね? ぼくだって嫌だ。つまらない。何か言いたくなるのは、気持ちとしては分かる。だから言うなとは言わないし、好き勝手に自分の思うことを言えばいいと思う。だけどね。そうやって紡いだ自分の言葉が、自分を傷付けることもあるからね(いろんな意味で)。たとえ言葉に出さなくても、思考として結実させた時点で、それは自分を傷付ける。気を付けてほしいなって思うのです。

とにかく。「女の人は犠牲を払っている。だから男も相応の犠牲を払いなさい」、これはやめよう。ぜったいにやめたほうがいい。なんとなくそう思うです。

※ 2006/12/02(Sat) 13:03:45追記:ごっ、ごめんなさい。タイトルの「論理的に正しいことが正しいことであるとは限らない」ですけど、内容とはあまり関係のない文言です。この日記システムでは、まず本文を書いて最後にタイトルを入れるんですけど、タイトルを付ける時点で、自分の中で、「この文章は論理的であるかもしれないけど、実際に苦しんでいる人の救いにはならない(だろう)。また、誰かを傷付けてしまうかもしれない。ごめんなさい」という気持ちになったので、自暴自棄なタイトルを付けてしまいました。
2006-12-02 01:10:11 / ふじさわ / Comment: 3 / Trackback: 1

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# 話の前提ズレ予想

michyさんの思考をvmしてみると……
・前のエントリーであれだけ詳細にPMSについて解説したのに、まだ「(一部の女性が)認識以上に辛い時期がある」を実感していない人がいる
・「何らかの不足」「犠牲」「負担」は、そのエントリーで解説したので自明である
・「女すべて」の話では無い。そこは追記した
・あれ以上の説明を求めるのは議論テクニックで揚げ足を取っているようにしか思えない

という感じでしょうか。
つまり、「PMSの実態を知った上でその事態にどう対処するのかは周りの人に判断の自由があること」というエントリーに関しての議論と、「これだけ説明しているのに同意しないのは真の意味で女性のつらさを理解していないからだ」というメタ視点レベルの違う話が混ざっちゃいそうだなぁと。
2006-12-02 16:40:10 / otsune / Comment: 0 / Trackback: 0

# ふむふむ。なるほど。...

ふむふむ。なるほど。

ええと、実はぼく、あまり今回の顛末をきちんとフォローしていないので、michyさんが何を考えているかはよく分かってなかったりします(スミマセン)。

ただなんとなく、michyさんって、otsuneさんがvmしているみたいな中二病タイプではない気がするんですよね……。単なる長文派で、しかも今回は、あえて物議をかもしそうな話題を振ってるんじゃないかなぁと。

まぁでも、「日本のブログ界に必要なのはスルー力」みたいな言い回しは、はあちゅうさんを彷彿とさせるもので、危険なメソッド使いさんだとは思います……。
2006-12-02 19:56:31 / ふじさわ / Comment: 0 / Trackback: 0

# ご意見ありがとうございます

「月経が存在するか否かで、男性と女性の人格には差異があると予想される。つまり、男性と女性は違う。だから、分かろうと努力しなければ、お互いに分かりあえない。男性は女性に配慮しようね(女性は男性に配慮するから)」

そういう意見のつもりでした。伝わらない文書になってしまったのは、自分の文書力に対する至らなさを感じます。また、まだ元文書を校正できるところまで余裕が戻りませんが、その際には参考にさせていただきます。貴重なご意見ありがとうございます。
2006-12-04 05:18:29 / michy / Comment: 0 / Trackback: 0
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# [女のしくみ] やさしさ所感

  実は女は、男には決してわからぬよう、アンダーグラウンドな組織を結成しています。すべての女はその組織に所属しており、そして男には存在をまったく知られていません。これを知った男は沈黙を強制され、喋った場合は捕縛されて秘密裏に消されてしまいます。当然女の側か
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2006-12-03 07:57:32 / winter note / Comment: 0 / Trackback: 0
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