メッセージ。 - にゃー

# にゃー

数週間前ぐらいに、感染症の専門医の人が「新型コロナウィルス感染症疑いの患者さんは、クリニックではこうやって診察・検査するんですよ」ということを動画で説明してくれていたのを見た。果たしてその内容は、大変繁雑でナイーブな手順の積み重ねだった。

https://www.youtube.com/watch?v=QUlRJqx3STI

対象の患者さんが、他の患者さんやスタッフと接触しないよう立ち入る場所を制限したり、ドアや什器などを触らせないようにしたり、医師はマスクとゴーグルと使い捨てガウンで完全装備して脱ぎ方にも細心の注意を払い、ことあるごとに念入りに手洗いし、他の人に感染しないよう、次の疑いの人を検査する前に30分〜1時間換気をして誰もそのエリアに入れないようにするといった次第。

すごく大変そうだった。でも思ったんだけど、そんなに大変なことをたくさんの疑い患者に対して適用するのはリソースと時間がかかりすぎるし、そもそも今回のコロナウイルスは「感染力がものすごい」×「無症候だけど他者への感染力を保持する感染者がたくさんでる」という特徴のせいで「疑いの人」だけそんなに気を遣って頑張っても意味がないんじゃないか。

※書き方が乱暴で申し訳ないです。プロの人は危険を顧みず寝る時間も惜しんで頑張ってくれてると思うし、外野からあれこれいったり非難をする意図はこの文章にはまったくないです。ただ、この未曾有の非常事態に対し、何ができるんだろう?何をすればよかったんだろう?と一市民が考えているだけです。

肺炎も発熱も咳もめまいも味覚障害もないけれども、怪我をしたり歯が痛かったり、じんましんが出たり、妊娠していたりという人が、毎日たくさん診察を希望する。それらの人々が新型コロナウィルスに感染している可能性が十分ある現時点で、それ以外の「疑い」の人にだけ細心の注意を払っても焼け石に水だろう。

本来であるならば、すべての患者さんに対して、すべてのスタッフがつねに完全防備して接し、なおかつ一人診察するごとに院内の経路を消毒して次の患者を呼び入れなければいけない。そうでなければ、「疑い」の人だけものすごく慎重に取り扱う行為と釣り合いが取れない。医療従事者や、クリニックに集まる患者さんをリスクから十分守れない。

けれども実際には、医療防護具や消毒薬のストックという観点からだけでも、すべての人にそんな対応をできないのが現実だ。だからそういう意味では、すでに医療は崩壊している。平時の水準の医療は、すでにできる状況ではなくて、すでに一線を超えた非常事態にある。普段であれば守れる命が、今は守れない。医療従事者も患者も文字通り命の危険にさらされている。だから外出を控えなければならないのだ。

※逆に言えば、「怪我や病気をしたり高齢になったら死ぬのは当たり前」「人間はもっと死んでいい」といったふうに人間の命の価値を減じた価値観に転回できるなら、外出制限をせず元に近い生活ができるだろう。

医療行為というのは、基本的に物理的な接触をしなければ不可能なものだ。人間の身体を診察するのであるから、人間の身体を物理的に観測せざるを得ない。その行為を機械が行えるならばいいのだけれど、現時点ではそうなっていない。感染症に対して脆弱である人間が、人間を診るしかないし、患者が自分で検査をできる社会制度にもなっていないのだ。

その結果、病院やクリニックへの人の去来を止めることができないので、そこがクラスターになる可能性がどうしても残ってしまう。院内のスタッフがどれほど気をつけていても、患者が集まって待合室に入ることでウィルスが持ち込まれてしまう。

これに対しての対策としては、たとえば(1)一人ひとりの患者の検査するごとに消毒ができ、(2)検査も機械で行えるような感染症専門の特殊装備車が将来的に必要ではないかと愚考する。

現時点ではそういうものが存在せず、専門家といえども素手で(努力と根性で)戦っている状況だ。ぼく自身は、医療関係者の方々が大変なストレスと過重労働のなか頑張ってくださっているのを、陰ながら応援するぐらいしかできない。微力ながらでも何かをしたいけれども、何もできないのがもどかしい。
2020-04-25 15:48:03 / ふじさわ / Comment: 0 / Trackback: 0

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