メッセージ。 - 日本の経済が弱まっている原因について
# 日本の経済が弱まっている原因について
日本のITは20年間進化していない──野口悠紀雄が語る
http://ascii.jp/elem/000/000/151/151210/
「日本の社会が新しい技術変化に対応しにくい」という見解には同意だけど、「ITのような分散型技術変化に対応しにくいから今のように経済状態が悪くなった」とは思わないなぁ。
今日本の経済状態が悪いのは、イノベーションのジレンマにあるように「一度成功した組織は変化に対応できない」という原因が大きいんじゃないかと考えている。
日本の経済は前世代における戦後復興で大きく成功した。それを推進したシステムや世代の思考がいまも動いていて、前世代のやり方を撤回し再構成することが困難になっている。そして、そのような前世代のやり方の撤回と再構成というのは、根本的に日本社会の苦手とするところだ。
たしか勝海舟が咸臨丸でアメリカに行ったときに述べた言葉だったと思うのだけど、彼が日本に帰ってきて、アメリカと日本の違いについて見解を求められたときにこう答えたという。「アメリカのすごいところは、日本と違って優秀で能力のある人間が社会を動かす立場に就けることです」と。
日本では、優秀で能力のある個人ではなく、年功序列や世襲のようなコネクションをもとに人員が配置される。またそのような人員配置はほとんど変化されない。そのような社会構造は、社会を一変するような変化に対して迅速に対応できない(かなりゆっくりと、また不完全に対応する)。要するに日本の社会は変化に対する追従性が低い(ただしこれは日本に限らず、成熟した社会や農耕型社会にありがちな特性のように思う)。
そして現在日本が直面している変化というのは、ITという新しい技術のGPT化ということではなくて、ソ連の崩壊からロシア・中国の経済的台頭といった世界的経済構造の変化だと思う。こういった世界的経済構造の変化が起こっているのに、日本の社会構造はそれに対応できていない。
従来型の加工貿易による日本のビジネスモデルは、日本で加工・生産した商品(電化製品や自動車)をアメリカやヨーロッパといった「日本よりも先進の国」に対して輸出するという形をとっていた。でもこの形は、(1)アメリカ経済が強く、(2)これといったライバル国がおらず、(3)円が比較的安かったという条件が整っていたから成り立っていたのではないかと思っている。
そして現在では、(1)アメリカ経済があまり強くなく、(2)中国などのライバル国がいて、(3)円が比較的高いため(そのようにふじさわは仮説を立てており、それが正しいとするならば)、日本の経済が弱い状態になっているだろうと考えている。
ええと、以上の見解はこれまでにもここで書いていることなのだけど、一応上記の記事を読んでぐるっともう一度考えて(自分的に)メモしなきゃと思って書いた。記事が十分興味深かったためということで。野口さんの新しい本は読んでみたいなぁ。とくにITがアメリカ経済に寄与しているかをどのように評価しているのかとか気になる。ぼくはそういうのの科学的評価法を知っとくべきだべ。
http://ascii.jp/elem/000/000/151/151210/
「日本の社会が新しい技術変化に対応しにくい」という見解には同意だけど、「ITのような分散型技術変化に対応しにくいから今のように経済状態が悪くなった」とは思わないなぁ。
今日本の経済状態が悪いのは、イノベーションのジレンマにあるように「一度成功した組織は変化に対応できない」という原因が大きいんじゃないかと考えている。
日本の経済は前世代における戦後復興で大きく成功した。それを推進したシステムや世代の思考がいまも動いていて、前世代のやり方を撤回し再構成することが困難になっている。そして、そのような前世代のやり方の撤回と再構成というのは、根本的に日本社会の苦手とするところだ。
たしか勝海舟が咸臨丸でアメリカに行ったときに述べた言葉だったと思うのだけど、彼が日本に帰ってきて、アメリカと日本の違いについて見解を求められたときにこう答えたという。「アメリカのすごいところは、日本と違って優秀で能力のある人間が社会を動かす立場に就けることです」と。
日本では、優秀で能力のある個人ではなく、年功序列や世襲のようなコネクションをもとに人員が配置される。またそのような人員配置はほとんど変化されない。そのような社会構造は、社会を一変するような変化に対して迅速に対応できない(かなりゆっくりと、また不完全に対応する)。要するに日本の社会は変化に対する追従性が低い(ただしこれは日本に限らず、成熟した社会や農耕型社会にありがちな特性のように思う)。
そして現在日本が直面している変化というのは、ITという新しい技術のGPT化ということではなくて、ソ連の崩壊からロシア・中国の経済的台頭といった世界的経済構造の変化だと思う。こういった世界的経済構造の変化が起こっているのに、日本の社会構造はそれに対応できていない。
従来型の加工貿易による日本のビジネスモデルは、日本で加工・生産した商品(電化製品や自動車)をアメリカやヨーロッパといった「日本よりも先進の国」に対して輸出するという形をとっていた。でもこの形は、(1)アメリカ経済が強く、(2)これといったライバル国がおらず、(3)円が比較的安かったという条件が整っていたから成り立っていたのではないかと思っている。
そして現在では、(1)アメリカ経済があまり強くなく、(2)中国などのライバル国がいて、(3)円が比較的高いため(そのようにふじさわは仮説を立てており、それが正しいとするならば)、日本の経済が弱い状態になっているだろうと考えている。
ええと、以上の見解はこれまでにもここで書いていることなのだけど、一応上記の記事を読んでぐるっともう一度考えて(自分的に)メモしなきゃと思って書いた。記事が十分興味深かったためということで。野口さんの新しい本は読んでみたいなぁ。とくにITがアメリカ経済に寄与しているかをどのように評価しているのかとか気になる。ぼくはそういうのの科学的評価法を知っとくべきだべ。
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