メッセージ。 - 最終電車と街の灯と

# 最終電車と街の灯と

こないだ、いつものように終電に乗っていたら、
同業者らしい人の会話が耳に飛び込んできた。

隣りに立っていたおじさんと女の子。
おじさんのほうは、ロマンスグレーでちょっといい
スーツを着た管理職って感じかなぁ。
女の子は、まだ若くて20代半ばに見えた。

配属されてからこのかた、上に付く同僚がみな脱落して、
まだ2年目のころから一人で客先に行っていたという彼女。
「まだ私、何も分からないのにお客さんのところに行って、
見よう見真似で打ち合わせしたり仕様書作ったりして、
しんどかったです」って。

男のほうは、たぶん育ってきた職種が違うのだろう。
「ふぅん。そうなのかぁ」と相槌を打つばかり。
現場の過酷さを理解できない、してあげられないという風でもあり、
小さな女の子の力強い言葉に気圧されるようでもあり。

「だから、いまの仕事はだいぶ楽です。
あのころは何か、……先が見えなくて。
先輩たちがどんどんいなくなって、私たちも休めなくて。
それが何年も続くと、体がおかしくなってくるんです。
本当に体が動かなくなって。
だからあのころに比べれば、いまの仕事は全然楽です。
いまの仕事のほうが、断然楽ですねー」。

そうつぶやく彼女は、はるか遠くを思うように、
夜の街並みを見つめていた。
男は何も、言葉を返せなかった。
2006-05-22 22:01:58 / ふじさわ / Comment: 0 / Trackback: 0

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