メッセージ。 - いま、この世界にいること

# いま、この世界にいること

ぼくだって、赤面するほど無知だし、気遣いが足りなくて失礼なことをするし、ぼくの書くことに価値や意味があるかと自問することも多いです。「人間は、善をなそうとして悪をなす」という言葉もあります。善かれと思ってやったことが人を傷付けることがある。なにが善いことで、なにが悪いことかは、正直に言ってぼくには分からない。

ぼくには好きな人や世界がある。でも、何をすればその人や世界が笑ってくれて、何をすれば悲しむかは、本当に分からない。善が何かを知ることができない。大袈裟じゃなく本当に。クリントン大統領やテロリストがそうであるように、ぼくという人間は善悪の前に妥当な判断力を持ちません。殺人が罪だと思う一方で、牛の肉を食らうことに、ぼくは罪悪感をこれっぽっちも感じない。はっきり言って欺瞞以外の何ものでもない。

同じように感じている方もいると思いますけど、断崖絶壁に立っているような気分ですね。冷静で正常な判断力を持っているならば、前にも後ろにも進めないとしか判断しようがない。自分は、なんてちっぽけで、無力なのかと思い知る。そういう意味では、ぼくも自分と自分のいるこの世界は嫌いです。

でもねー。そうやって絶望するときもあれば、嫌なことをすっかり忘れて夜風の心地良さに酔ったりすることもあるんですよね。自分は馬鹿なことしか書けないけれど、それでも何かを書けば、それが他山の石として誰かの役に立つかもしれない。ちっぽけで、結果悪になってしまうかもしれないけれども、善になればいいなと思って、何か伝えたいという気分になることがある。それは本当に、ぼくも同じです。

                  *

それで、思うんですけど、嫌いというのは好きの裏返しなんじゃないかなーって。本当に本当に、この世界が嫌いで憎いのならば、そういう人が取るべき手は一つ。この世界を去ることだと思うのです。この世界が憎しみで満ち、何の期待も持てないおぞましいものならば、一刻も早くこの世界を去るのがその人にとっては一番うれしいはずです。

でも、多くの人はそうしない。「この世界を憎んでいる」と言う人は、憎しみのゆえに誰かを傷つけ、奪い、殺そうとします。でも、いったいぜんたい、それが世界に対する復讐になるのでしょうか? ぼくが本当に世界に恨みを持つ存在ならば、何人を殺し、何万人に悲しみを与えたとしても、満足はできないと思います。誰かの「悲しみ」を欲しいと思った時点で、この世界の一部をぼくが欲していることになるからです。それは、この世界の少なくとも一部を好きだということです。世界を恨み、憎んでいるはずが、その一部を望むというのは矛盾です。

結論として、嫌いというのは好きの裏返しにほかならないとぼくは思うのです。いや、好きというのは言いすぎとしても、少なくとも何らかの関心は持っている状態ですね。では、関心とは何なのか。そこに意味を見出す自分という存在を、どう自分の中で容認するのか。この世界の中に自分が存在することを、どう許すのか。

               *

誰かの他山の石になれるかもしれないというのは、まさしくぼくが、この世界を好きだと言うのと同じ感情だと思います。好きだからこそ、何かをしたくなる。この世界に波紋を起こすことに意味を見出し、それが善たる結果になってほしいと祈ってしまう。それが、生きているということであり、希望だと思うのです。

だから、多かれ少なかれ何かを感じてくださる方がいるというのは、やっぱりぼくにとってはうれしいことです。同じことを感じている人がいるなーと思って、励みになります。ぼく自身はちっぽけで、無力で、偏見に満ち、分かったようなことを書いて何も分かっていなかったり、何も生み出してはいないけれども。でも、この会話がまた何らかの意味につながるといいなと思います。
2006-08-20 02:33:08 / ふじさわ / Comment: 2 / Trackback: 0

Comment

#

なんか、うまく言えんのですけど、この文が好きな感じです。それだけが言いたかっただけなんですけど。
2006-08-20 20:53:43 / トダ / Comment: 0 / Trackback: 0

#

ありがとうございます。うれしいです。
なんとなく感じることって、言葉にしにくくて、伝えにくくって、口にするまでもない気がしちゃいますよね。でも、口にしたっていいと思うんです。自分の部屋でひとりごとを言うように、感じたことをただ聞かせてもらえるのは、とてもうれしいです。
2006-08-21 10:11:10 / ふじさわ / Comment: 0 / Trackback: 0
コメント投稿機能は無効化されています。

Trackback

TrackBack投稿機能は無効化されています。