メッセージ。 - 好きだった人を否定するのイクナイと思う

# 好きだった人を否定するのイクナイと思う

その昔、女の先輩たちが飲んでいるところに合流してしまって、気まずい思いをしたことがあったなぁ。女ばかり5〜6人の中に男が1人。最初は気づかなかったんだけど、先輩たちの1人が失恋したみたいで、彼女をなぐさめるためにその飲み会は開かれていたようだった。

「場違いなところに来ちゃったな」。そう思ったときは後の祭で、ぼくは、猫の置物かなにかに徹するしかなかった。そこで目にしたのは、「彼のあの行為が信じられない」とか、「彼がああしてくれたのはなぜだったんだろう?」とか、主に彼を否定することでやりきれなさを浄化する慰めの儀式。

つらかったなぁ。振られた女の人の気持ちなんて分かれやしないけど。でも、そういう慰め方は、しんどくなるばっかりじゃないかと思った。好きだった男を否定することで、彼女は救われるんだろうか。すっぱいブドウだったと言って納得できるんだろうか。

ぼくはそうは思わない。そうやって、好きだった人を否定するのは、止血の効果があるだろうけど。でも止血以上のものではないと思う。きっと、好きだったのは確かなんだよ。好きで、確かに彼はいい男だった。そう思わないことには、その人を好きだった自分や、彼と一緒に過ごした時間さえ否定してしまうことになる。

それはあまりにも悲しいし、実際のところ、そんなことは不可能だ。彼と一緒に過ごした時間は楽しかったし、いいものだった。だからこそ、いま苦しんでいるのだ。いまも彼が好きなのだ。いくらみんなで否定しても、彼を好きな気持ちは、消せるものではない。

彼女も、まわりの女の人たちも、その男を悪く言っていたけど。でも、そうすることで傷付くのは、結局彼女自身なんじゃないかなぁと、ぼんやり思った。そういう時期は、自分自身を傷付けたくなるのかもしれないけど。でも。……まぁいずれにせよ、ぼくは猫の置物以上の働きはできなかったのだけどね。
2006-09-12 09:15:55 / ふじさわ / Comment: 0 / Trackback: 0

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