メッセージ。 - 倫理と差別は光と影という話

# 倫理と差別は光と影という話

世の中には「これはいいこと」、「これは悪いこと」と評価されていることがある。たとえば人殺しは悪いけど牛殺しは悪くないとか。でも、よく考えてみると(哲学的なレベルまでちゃんと考えてみると)、その言説に合理的な(科学的な意味での)根拠はない。それが倫理なのだと思う。倫理というのは、科学では説明できないけれども「こうしよう、こうあってほしい」と決められた規範だと解釈できる。

一方で、「差別」を辞書で調べると、「偏見や先入観などをもとに、特定の人々に対して不利益・不平等な扱いをすること。また、その扱い。」のように書かれている。「偏見や先入観をもとに」というのは「合理的な根拠がない」ということであって、「倫理」と出自を同じくしている。偏見と先入観は、倫理の裏の面そのものである。

そしてまた、世の中にあるほとんどすべての情報・言説は、合理的根拠がないか、もしあったとしても薄弱だ。コレステロールを取りすぎると体に悪いとか、テレビを見ると頭が悪くなるとか(頭の良し悪しの定義ってなんだ?)、私はいま幸せだとか、私は傷付いたとか、罪とか罰とか栄誉とか、差別をしてはいけないとか。それらにはすべて根拠がないか、もしあったとしても、土台となった根拠に根拠がない。

しかしそれでも人間は生きている。薄弱な根拠を信じて。チームで生きることしかできぬ人間には、科学的根拠などなくても規範が必要なのだろう。だから人間は、「倫理」を生み出し、それを守る。そしてそれは同時に「差別」をも生む。差別を完全になくしたいのなら「倫理」を捨てる必要があるし、それはチームで生きるのをやめるということだ。
2007-03-19 08:37:42 / ふじさわ / Comment: 0 / Trackback: 0

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