メッセージ。 - 書くというお仕事

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ライター仕事の処世術 - ジュブナイルポルノ作家わかつきひかるのホームページ - 楽天ブログ(Blog)
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 発注頂いたアンソロジーの官能小説の短編を、締め切りの2週間前に納品しました。
 ほんとうは、これは、ライター仕事で学んだ処世術からいうと、やってはいけないことなんです。
 
 納品は締め切りの直前。早くても数日前。それがライター仕事をうまく回すコツです。
 どうしてかというとですね。……

ふぅん。そういうものなのかなぁ……。週刊誌とか一般誌の仕事だったら、そうなのかなぁ。なんか、逆のケースもあるかなーと思ったり。つまり、「この人は仕事が速いな」、「安心して仕事できるな」→「次も頼もう、迷惑かけないように早く発注しよう」ってなる場合もあるような気がする。

たしかにねぇ、編集者って追い詰められてるところがあって、「まだいけるか?、もうそろそろやばいかな?」っていつも考えてるものなのかもしれない。ぼくも、経験上、発注をギリギリにしてしまうことが多かった。でもねー。ギリギリに発注をかけるというのは、すごく心苦しいんですよね。「あーごめんなさいごめんなさい、次はちゃんとしよう次はちゃんとしよう」といつも思ってた。

でもなっかなか、それができなくて苦しくってね。編集者にとっては、雑誌を作るのにはいろんな不安要素があって、どうしても遅れてしまう。なんでだろう?って自分でも思ってるんですけどねー。たとえば、ぼくだって、新人のころはかなりソツなく仕事をこなしていた部分があった。あのころは、仕事の量も少なかっただろうけど、それ以上にうまくこなしていたような気がする。でもそれが、だんだん出来なくなっちゃったんですよね。

なんでだろう?と考えるに、鬱傾向だったのかもなーと思ったり。たまにせっかく早くに発注しているのに、ギリギリになるまで書いてくれない人があると、「早くに発注するとダレちゃうんだなー」と考える。それで次は、「ジャストタイミングになるまで塩漬けしてから発注だ」とか思うんだけど、発注するのを忘れて(あるいは茹でガエル効果で)ギリギリになってしまったりする。「早く発注しても、ギリギリで発注しても結果は同じなの?」って思ってしまったら、また苦しい。どうすればいいか分からなくなる。そして次の月に突入する。

ぼくの場合は、いろんな人からよく怒られたり、喧嘩したりしたからなぁ。余計に臆病になっているところがあって、「どういう風に声をかければいいんだろう?」とか、「この人にとっては、いつ、どういう風にアプローチされるのが快適に感じるのだろう?」とか、考えすぎてしまって、でもなかなかうまくいかなくて、苦しかった。

あとぼくの場合は、いわゆる「ライターさん」を使うんじゃなくて、現場の一線で活躍している人に声をかけたいと思っていたから、余計にしんどい面があった。知らない人に声をかけるのはそれなりに気を遣うものだし、知らない人に仕事を発注するわけだから、結果としてもらえる文章(アウトプット)の品質が読めない部分が大きくて、そのへんにも苦労した。

期待外れのアウトプットをもらったときとかは、本当に困る。そういう場合、強気な編集者さんは大きくリライトしてしまうケースもあるようだけど、ぼくはそれがなかなかできなくて。何度も文章を読んで、「この人は、この文章で何を言いたかったんだろう? この人にとって、(この)仕事の意味ってなんだろう?」、「読者にとって、この文章から読んで得られる価値の根幹は何だろう?」と考える。そして、書いた人と読む人の、双方が何かを得られる地点まで文章を持っていく。

そのとき、文章をリライトするだけじゃなくて、書いた人と調整するわけだけど。人の書いたものに手を入れて、とくにそれを「良く」しようと試みるのは、それだけで苦しい。なにが「良い」かなんて分からないわけだし、実際ぼくなんかはその現場のことを何も知らないわけで。「お前なんかに何が分かる」と言われても仕方ない。その仕方ない人間が、仕方のない感性と感覚で、文章をリライトする。その人とは初めて仕事するわけだから、信頼関係とかも1から構築しながらそれをやる。しんどかったなぁ。

えーと、なにが言いたいんだっけ? まぁそんな感じで作業している編集者もいますよということで。でもともあれ。自分の小説の仕事が来て、よかったですね。書く側として、それは本当にうれしいことだろうし、発注する側としてもうれしいことです。これからも、そういう風に仕事をしていけるといいですね。そう思います。
2007-06-22 07:30:22 / ふじさわ / Comment: 0 / Trackback: 0

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