メッセージ。 - ハッカーは面白い仕事しか請けない

# ハッカーは面白い仕事しか請けない

404 Blog Not Found:Web業界の底上げとか崇高な考えがあるなら、お前ら率先して金取ろうよ
http://blog.livedoor.jp/dankogai/archives/50874804.html

んー。んーーーーーーーーーーーー。弾さんの意見って、なんか好きじゃないなぁ。

ハッカーの人は、確かに安いお金で仕事を請けることはある。もらうお金が少ないことを嫌だと思っていない。でもそのかわり、ハッカーは面白い仕事しか請けない。というか、ハッカーの人は面白い仕事しかできない。お金の問題じゃないのです。彼らは、金額が安い仕事であっても、それが面白いなら請けざるを得ない。ハッカーの人は、性格的に興味のあることしかできなくって、だからこそハッカーになったんだと思う。

ハッカーの人のところに面白い仕事の依頼が来たとき、「これでは安すぎるから」と言ってもっとたくさん要求をして、その仕事がポシャったらどうなる? 損をするのはハッカーの人自身だと思うし、業界としても損をしていると思う。面白い仕事というのは、作り手だけが面白がるのではなくて、受け手(クライアントや最終消費者)も面白がってしまうものだと思うから。そういうのこそ、業界の底上げに役立つだろう。

でも実際には、仕事が面白いかどうかは、依頼が来たときには分からないことが多い。仕事の面白さの1つは、相手がハッカーの人であるかどうかにもかかわってきて、その真贋を見極めるのに時間がかかるから。また、相手の人(直接の担当者)だけじゃなくて、そのバックにある会社のハッカー度みたいなものも大きな要因になる。これは、仕事を発注するクライアント側からしても同じで、相手の見極めは難しい。

だから、金額としてはある程度ならしてしまうしかなくなるのだと思う。自分に能力があるからといって、高い金額ばかり要求していたら、単に金持ちのクライアントからしか発注が来なくなる。そういう金持ちのクライアントが、ハッカーばかりならいいけど、大手というだけでつまらない仕事を持ち掛けてくるところも多いだろう。そして、高い発注ばかり請けている間に、お金はないけど面白い仕事を持ってくるようなクライアントを見落とすことになってしまう。これはクライアントからしても同じで、お金の扱いのうまさと、ハッカーの能力は、必ずしも線形対応にならない。

お金をたくさん貰うようなスタープレイヤーを見て、若い人の中には憧れる人もいるだろう。でも、お金だけがものや人の価値を表すものではないよね。価値の高いものが高価であるほうがいいだろうけど、そんな単純なものではない。本物のハッカーなら、お金は価値を測るたくさんの指標のうちの1つにすぎない」と早晩理解する。「ものの価値が、お金で適正に評価できればいいのに」と思ってしまうのは理解できる。でも世の中、良いものが高価になるかどうかと言えば、実際には線形と言えるほどには対応しない。価値評価としてのお金というシステムは、必ずしも期待したとおりに機能しているとは言えないし、今後も機能しないだろう。

それはつまり、民主主義の優秀度と同じで、民衆が愚かならその市民に支えられている国も愚かしい行動をしてしまうということだ。そして実際、世の中にはつまらない行動や決定ばかりしている国も、つまらない商品も、あふれている。彼らをお金の力で導こうと、あるいはお金の機能を取り戻そうと頑張るのは1つの方法だろう。でも、ぼくから見れば、その試みが成功するかは悲観的に思える。

「ハッカーは面白い仕事しか請けない」という受注側の論理は、「面白い仕事を持っていかないとハッカーには請けてもらえない」と発注側の負担になる。それはつまり、「高価」ということだ。お金をたくさん積んでやっと、あの人に請けてもらえるとか、あるいはいくら積んでも面白い仕事を持っていけないことには、あの人には請けてもらえないとなる。そういう行動原理は、ある種の仕事や人や業界を「高価」にする1つの方策であって、優秀な人がお金をたくさん取るという方策と比べて、少なくとも遜色はない。
2007-07-22 11:03:50 / ふじさわ / Comment: 2 / Trackback: 0

Comment

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発注側と受注側の価値観が合致したときに、結果として世に知られる仕事となることが多いですね。
2007-07-23 12:27:38 / guest / Comment: 0 / Trackback: 0

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コメントありがとうございます。個人的には、「世に知られる仕事」と言えるような仕事をほとんど体験したことがないのですが、そういうものだろうなと思います。いい仕事は、楽しいですよね。そういう仕事を、少しでも増やしたいなと思います。

ちょっと脱線してしまうかもしれませんけど、「受注側と発注側の価値観が合致」という言葉から、1つ連想した文章(昔読んだ本の引用)があります。もしご興味があれば、読んでみてくださいませ。手品の目的は、手品を見せることではない
2007-07-23 22:22:59 / ふじさわ / Comment: 0 / Trackback: 0
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