メッセージ。 - [日記] 人の分まで稼げる人は2割

# [日記] 人の分まで稼げる人は2割

[Q]そうなんだよな。ぼくが会社を辞めたのも、「自分自身が会社の利益に貢献できていないから」という理由からだった。「会社のお荷物になりたくない」、そう思って会社を辞めていく人って、けっこう世の中にいるんじゃないかと思う。[/Q] 
会社組織なんて、人の分まで稼げるやつ2割、何とか自分の分だけ稼げるかどうかのやつ5割、おんぶに抱っこのやつ3割、とかそんな感じよ。自分の食い扶持分くらい売り上げたってりゃ立派なもんさ。

こういうコメントをいただいた(ありがとうございます)。そうなんだよなぁ。「人の分まで稼げるやつ2割」、それはある程度正しい認識なんだと思う。ただ、「そういう認識が当たり前だ」、「稼げなくてもいいんだ」という考えが、十分普及していない(自明でない)ことが問題だと思うんだよなぁ。

メッセージ。 - 成功体験でも書いたけど、ぼくも昔は、「稼げなくてもいいんだ」という考え方に気付けなかったし、そういう考え方があるってことを思いもしなかった。「会社が稼ぐ」ということがどういうことなのか、イメージできなかった。でも、なぜイメージできなかったのか? それこそが問題なんじゃないかと思うのだ。

「稼げない自分がダメなんだ」、「会社のお荷物になりたくない」って思ってる人は、きっとぼくだけじゃないと思うんだよね。今この瞬間も、そのことで悩んでいる人が、きっとたくさんいる。なぜか?っていうと、結局多くの会社では「稼げなくてもいいんだ」というメッセージを社員に対して発していないからだと思う。

実際ぼくが努めていた会社でも、上司も同僚も「稼げなくてもいいんだよ」とは教えてくれなかった。その理由の1つには、部門ごとに売り上げを達成することが求められていることが挙げられるかと思う。今の多くの会社は縦割りで、それぞれの部門を競争させたり、部門ごとに成績を達成することを求めている(ぼくのいたところはそういう感じだった)。だから、会社としてはやはり「稼げなくてもいいんだよ」とは言えなかったのではないだろうか。

その一方で、うまくいっている企業では、「トータルで利益が出ていて、サステナブルなビジネスができていれば大丈夫」という経営が、きちんと実施できているんじゃないかと考えている。前者は部門最適を優先していて、後者は全体最適を優先させているというか。また同時に、前者は性悪説の経営で、後者は性善説の経営とも言えるかもしれない。「部分ぶぶんは必ずしも稼げなくてもいいんだよ。トータルで利益が出ていて今後もコアコンピタンスを守り育てていけるならいいんだよ」みたいな経営は、チームベースで戦略的な戦い方と言える。このような戦い方は、会社が社員を、また社員が別の社員を信用していないとできない部分がある。

そして逆に、今の日本の企業の多くは、短期的で縦割りの利潤追究を構造に組み込んでしまった。全員が黒字を出すことを求めるという、個人戦ベースの戦い方を採用してしまった。これはサボる社員や遊んでいるように見える社員を許さない構造にならざるを得ないし、それがゆえに「稼げなくてもいい」と言えなくなってしまったのではないか。そしてそういう会社にいる真面目な人は、自分の力で会社に利益をもたらせない状況を、ひどく苦痛に感じてしまうだろうと想像する。

実際には、会社としての良い形というのは、(前者型であれ後者型であれ)「他人のぶんまで稼げる人2割、トントンだったり少し赤字を出してしまう人6割、ひどい赤字を出してしまう人2割」なのではないかと思うが、でも前者型の会社に務める人のうち、真面目な人たちは、「トントンだったり少し赤字を出してしまうこと」に耐えられなくて辞める率は高くなるはずだろう。

また、そういった会社内部の構造的要因に加えて、ここ20年ほど日本は右肩下がりという外部的要因が会社を襲っている。いまの若い人には、「なにをやってもうまくいかない」という経験ばかりをしてしまっている人も多い。高度成長期であれば、平均未満の能力の人でも黒字を出せていたような仕事が、現在では赤字にしかならないというのは、世間のあちこちで起こっている事象だろう。ならば殊更、会社の先輩たちは若い人に対して、「稼げなくてもいいんだよ」と言ってあげなければいけないんじゃないかと思うのだ。

「君は失敗ばかりしている。でも本当は、失敗ばかりしているのは君だけじゃないんだよ。君の同世代はみんな同じように苦労しているし、年嵩の社員だって打開策が見つからないんだ。だから君は、今の状況を気に病んで会社を辞めたりしないで欲しい。君のせいなんかじゃ全然ないんだから。最近は赤字ばかりだけど、会社には君が必要だ。一緒に打開策を考え、実践してほしい」と、年嵩の人間はそう言わなければならないはずだとぼくは思っている。

現在のような右肩下がりの状況で、利益を増やしていくのは難しい。そういった状況でまずすべきことは、前進するか後退するかの明確化なのではないだろうか。「これは戦略的撤退だ」と社員に伝令できるなら、赤字が出ていたって辞める人も減るだろう。そしてある程度後退して態勢を立て直せたならば、縦割りの中で各人が孤立するのではなく、横のつながりで範囲の経済性を活性化させなければならない。仕事を創造しなければならない。そのためには、なによりコミュニケーションが重要だろうと考える。

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今日の進捗。今日は一応、ちょっと仕事ができた。Amazon S3のテストで簡単なものは全部パスした。また、APIについてドキュメントを書いて仕様書と整合性が取れるように整理できた。まだいくつもやるべきことはあるけど、まぁ今日は少しでも進んだから気分が良い。
2010-02-23 02:12:18 / ふじさわ / Comment: 0 / Trackback: 0

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