メッセージ。 - にゃー

# にゃー

Excel方眼紙がいまだに使われている理由はいくつかあるだろうけど、そのうちのいくつかをリストアップしてみる。

(1) 組版ソフトとしてのニーズ
(2) テンプレートシステムとしてのニーズ
(3) インターオペラビリティ(互換性・歴史的理由・惰性・誰でも使えるコモディティ性)

(1)については要するに紙に印刷したいという要件だと思う。組版ソフトというと、InDesignとかIllustratorもあるが、それらはデザイナー業務に寄りすぎていて一般職の人には使いにくい。Latexだと難易度が高すぎるし画像ファイルなどを別管理しないといけない。簡単に組版ができるソフトとして、Excelを方眼紙として活用するテクニックが普及してしまったのだと思う。

(2)については、文書のタイトルや作成者、作成日付、お決まりの文書構造をテンプレートとして作っておいて、穴埋め式で文書を作ることで統一感を持たせたいというニーズに、Excelの機能が合致したということだと思う。
誰が見ても「ここに埋めればいいんだな」と説明なしに分かるし。PDFでも同じようなことができるだろうけど、PDFのほうがより自由度が低いし、テンプレート作成のハードルが高い。

(3) これは要するに機能要件というよりも非機能要件、つまり惰性や社会的要請だね。「いままでこの現場では文書管理をExcel方眼紙で行っていて、変える必要性があまりない」とか、「変えるデメリットより変えないメリットが大きい」といった理由があげられる。Excelなら誰でも使えるでしょという社会的コンセンサスがあって、社外を含めて「このフォーマットで」と指定・共有しやすいし。

個人的には検索性が悪いとかバージョン管理ができない、あるいは見た目・デザインと内容を分離しないと文書作成時に大変とか計算機で取り扱いにくいといった理由でExcel方眼紙はまっく好みではないのだけど、以上のような理由でいまでも現役で使われている理由もまぁ、説明はつく。

逆にいうと、以上のような要件を満たして、かつ検索性やバージョン管理性、作成コスト削減、計算機による再利用性の向上を満たすようなファイルフォーマットが現れてほしいものだが、寡聞にして有力な代替案を知らない。

たぶんそういったツールやフォーマットを作る試みは、たくさんの人が過去に何度も試みているんだと思うのだけれども、とくにインターオペラビリティを中心としたサンクコストが大きすぎて、社会からExcelを駆逐するに至っていないのだと思う。

結局のところは前述のような要件をすべて満たす最大公約数は、とても小さい(抽象度が低い)ものにならざるを得ず、Excelで良いという現場が多いということだろう。
2025-10-19 22:53:26 / ふじさわ / Comment: 0 / Trackback: 0

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