メッセージ。 - リーザとニコラスの物語 — 告白
# リーザとニコラスの物語 — 告白
4日目。連日の疲労をねぎらおうと、少年ペーターがニコラスをはげます。優しいペーターと心を通わせるニコラス。
なごやかな雰囲気に包まれる会議室。しかし、それも長くは続かなかった。リーザは唐突に、占い師であることを告白。これで村には、3人の占い師が立ったことになる。…しかし、みなの視線は冷ややかだった。
「なぜいまごろ?」占い師であると信じてもらえないリーザ。投票会議は紛糾する。リーザを吊るか、古参占い師オットーを吊るか。議論の熱気がニコラスを苦しめる。
そして決断へ。
リーザは助かった。その日ニコラスは、旅の記録に少女への思いを書き残す。
疲れ果てたニコラスは、安らぎを求め会議室の暖炉へ向かう。リーザはいつも、暖炉のそばの麻袋で寝てしまうのだ。
その日、ニコラスは狼に襲われた。
【4日目午後 6時 42分 ペーター】ニコラスさん昨日はぐいっと皆を引っ張ってくれてありがとー。僕の中のニコラスさん『漢』率が3割は増したよー。まとめる役って大変だと思うけど今日も一緒にがんばろうねー。
【4日目午後 6時 59分 ニコラス】ありがとう、ペーター。みんなががんばってるから、ぼくもがんばれるんだって思うよ。おうえんしてくれてありがとう。ペーターは本当にかしこい子だ。おおかみなんかに負けないよう、強い男に育つんだよ。そうだ。この騒動が終わったら、旅に連れてってやろう。世界には、面白いぼうけんや、楽しい人たちがいっぱいいっぱい、あるんだぞ。ペーターと旅をできる日が、待ち遠しいなァ。
【4日目午後 7時 10分 ペーター】わーい。僕まだ村を出たことがないんだ。広い外の世界を見てみたいなぁ。今回の狼騒ぎが終わったらニコラスさん是非連れてってねー。楽しみにしてるよー。そのためにはまず今を精一杯がんばるよー。
【4日目午後 9時 10分 リーザ】ただいまなの今日は木の実たくさん取れてニコニコなの。お母さんも褒めてくれたんだ。エヘヘあっニコラスお兄ちゃんペーターとだけなんてずるいのリーザも一緒なの
なごやかな雰囲気に包まれる会議室。しかし、それも長くは続かなかった。リーザは唐突に、占い師であることを告白。これで村には、3人の占い師が立ったことになる。…しかし、みなの視線は冷ややかだった。
「なぜいまごろ?」占い師であると信じてもらえないリーザ。投票会議は紛糾する。リーザを吊るか、古参占い師オットーを吊るか。議論の熱気がニコラスを苦しめる。
【4日目午前 1時 0分 ニコラス】みんな一日だって忘れるはずもないだろう。この戦いは、はじまってからずっと、身を切られるようなつらい選択を強いるものだった。…そして、それは今日も変わらない。ぼくは思う。生きるということは、死ぬことと同じぐらい、友の屍の上に立つことと同じくらい、つらいものなのかもしれない。候補に上がったみんな。みんなの勇気と献身には、いくら感謝してもし足りない。会えてよかったと、心から思う。
そして決断へ。
【4日目午前 1時 5分】今日の犠牲者はオットー。占い対象は、ヨアヒム。これを今日の決定事項とします。もう変更はしません。みんなすまない。こんなぼくを信じてくれて、ありがとう。
リーザは助かった。その日ニコラスは、旅の記録に少女への思いを書き残す。
【4日目午前 4時 3分】「あー。今日は書けない。少女の告白は、たしかに罪深い。村は揺れ、人心は乱れた。不安が村をつつむ夜。暗い夜道をゆくように、心細さがひたひた寄る。しかし、なぜだろう。彼女の言葉からは、村人への愛を感じる。朝焼けにも似たあたたかな光。それを信じて失えど、いったい何を後悔せん。それを打ち捨てゆくとして、人はいずこへ向かうべきか」(ニコラス旅の記録、第五章に添えて)
疲れ果てたニコラスは、安らぎを求め会議室の暖炉へ向かう。リーザはいつも、暖炉のそばの麻袋で寝てしまうのだ。
【4日目午前 4時 31分】「またこんなところで寝てるのかい? 体が痛くなるよ」暖炉のそば、しおれた花のように麻袋がうずくまる。男はそれを子猫でも抱くように抱え上げると、そっと自室のベッドに移した。少女の頬は、涙で赤く腫れていた。「ごめんね、リーザ。放ってなんか行かないよ。この騒ぎが収まったら、きっと一緒に旅に出よう。世界中のお菓子を買って周る冒険の旅だ。ペーターとも仲良くやるんだぞ。そうそうそれから……」
その日、ニコラスは狼に襲われた。
Comment
Trackback