メッセージ。 - インターネットと大人の世界

# インターネットと大人の世界

http://d.hatena.ne.jp/dailymadogiwa/20051025/1130268104
 まどぎわ通信の通信 - 大人だったら言ってはいけない一言
 
 こんな言葉を公然と語る経営者にモラルを語っても馬の耳に念仏だろうが,実際にはネット業界「だけ」が日進月歩でやっているわけではない.けれども他の業界がたとえ忙しかろうとも必ずしも「50%の完成度」で出すのかといえばそれは違う.早い者勝ちだからサービスが中途半端でいいという論理を展開するのであれば,それは消費者をなめているとしか思えない.アメリカならば間違いなく集団訴訟ものだろう.
 
 所詮は学生企業から始まったワンマン企業なので社会常識がないと言えばそれまでだが,実名かつ肩書きのある形で発言するのであれば,真実そう思っているにしろ(また例えそれが真実であったにしても),もう少し消費者側に対する配慮が必要なのではないか?公としての発言と私としての発言を分けるということは社会人としての最低限のマナーだろうし,そこでのおこる反響も考えずに発言したのであれば浅慮だったと言うしかない.

うーん。この指摘には正しい面もある。だけど、はてなという企業の規模や、「インターネット上で日記などのサービスを提供」するという事業特性から考えると、50%でサービスを提供するというのは、むしろ合理的な面が大きいと思うんだけどなぁ。

たとえば、高い信頼性と完全性を提供するには、はてなという企業は小さすぎる。また、いまの収益モデルではやっていけまい。じゃあ、「はてながニフティやlivedoorのような大きな企業になって、もっと料金も高くあるべきか?」というとそうでもないはずだ。

はてなのサービスが面白いのは、モラルというよく分からない大人の事情から脱していることに根源があるのだろうし、少なくともそれが、現在のインターネットを面白くしている一要因でもある。大人おとなと言うけれど、いい大人は自分の考えていることを、日記やブログなどという形で公の場に公開したりはしない。

インターネットの魅力は、既存の世界にあった「大人」とか「マナー」とか「言うべきでない」みたいなものから解放されていることにあるのだと思う(もちろん、人によって何に魅力を感じるかは違うだろうけど)。はてなはその魅力に対してストレートにアプローチしている。少なくともぼくはそう感じる。

最後に、50%の良さを示す題材として、オープンソースマガジン Vol.2から近藤さん、伊藤のインタビュー記事を引用してみます。

 Q なるほど。そうやって面白いサービスが生まれていくわけですね。
 
 伊藤氏 後は、続けるというのも大事ですね。たとえば「人力検索はてな」にしても、いまでこそテレビの取材が来たりしてにぎわってますけど(編注:6月20日、日本テレビの「先端研」に取り上げられた)、始めた当時は「月に質問何件?」みたいな世界ですから。
 「はてなブックマーク」でも、いまは広く使ってもらっていますけど、始めた当初はだいぶ不評でしたからね。あれがダメだこれがダメだと言われてヘコみました(笑)。でも、地道に改良を続けていると、だんだん皆その面白さを分かってくれて。人が入ってくると、さらに面白くなってきてね。
 
 Q なるほど。でもやっぱり、しんどいですよね。続けるのはそれなりに。
 
 近藤氏 オープンソースというキーワードで言うと、「人文系オープンソース」という言葉をたまに使っているんです。はてなでは、ソースコードはオープンにしていない。でも、「こういう風に考えてこういうものを作ってみました」という部分を皆に見せて、パッチを投げてもらうというか、意見を行ってもらってサービスを改善していくんです。
 だから、そういう意味でのオープンさというのはあって、実際それを、いまは「はてなアイデア」というものでやっています。1か月半で300件以上アイデアが集まったりしているんですよ。
 オープンソースの世界でも、「100%完成品を作ったから皆使ってよ」と言うよりも、ある程度のところで出して、それをどんどん直してもらったり、機能改善のパッチを送ってもらうというか。そうやって良いものを作っていけるというイメージがあります。
 
 Q なるほど! そういう意味では、はてなは非常にオープンソース的ですね。「オープンソースサービス」と言えるかもしれません。続ける秘訣もそこにあると。
 
 近藤氏 そういう面はありますね。
2005-11-15 18:54:57 / ふじさわ / Comment: 0 / Trackback: 0

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