メッセージ。 - SIの問題点

# SIの問題点

SI(「システム・インテグレーション」の略。企業で使うコンピュータシステムを作ること)で問題が発生する最大の理由は、仕様が決まらないことだと思う。(ここでいう問題ってのは、納期に間に合わないとか、1億円で作ると言ったのに5億円かかってしまったとか。そういう話がよくあるのです。)

そして仕様が決まらないのは、システムを欲しがるお客さんが「こんなのが欲しい」と具体的に説明できないからだ。お客さんは、システムをSI屋に発注しようと思っても、プロじゃないので、どんなシステムが欲しくて、しかもそれが実現可能かよく分かっていないことが多い。

たとえば、○×商事が社内の人事システムをコンピュータで作ろうと考えたとする。すると実際には、○×商事の「情報システム部」などというところがその作業に責任を持って主体的に動き、実際のシステムは□△ソフトウェア開発会社に発注することになる。

けれども、○×商事のシステム部門はまず人事の業務をよく知らないから、どんなシステムを作ればよいか分からない。また彼らは、コンピュータシステムに関する知識がそれほど高いわけでもないので、どんなシステムを実現可能なのか分かっていない(それが分かるレベルなら自分たちで作るように思う)。

仕様が決まらないのだ。そもそも、どんなシステムがあれば業務が効率化するかというのは、すごく難しい問題だ。人事システムを作りたいなら、その業務に熟知し、どう変えればいまより良くなるか理解できる人間でなければならない(ついでにその人には現場を変えられる力も必要)。しかし、そういった人間はシステム部門におらず、本業が忙しいため仕様を決める作業にそうそう時間を割けない。また、コンピュータに詳しくないので、何が実現できるかをうまく想像できない。

システムを作るときには、忙しくて有能な人とたくさん話し、仕様を聞き出さねばならないし、何ができるかを聞いてもらわなければならない。だけど、システムを作る担当部署である情報システム部門にも開発会社にも、たいていそんな権限が与えられていない。一般に、情報システム部門は社内での立場が弱く、下働きぐらいにしか思われていない。また、SI屋に対しても出入りの業者の1つぐらいにしか考えていない。

実際、「システム開発会社の者です」といって顧客を訪問すると、工事入構者用の腕章を渡されることも多い。システム開発というのはそんなものとしてしか扱われていない。そんな環境で、「あなたはどんなシステムが欲しいですか? どんなことに困っていますか? こんなことができますよ。そこはこう改善できますよ」なんて話ができるだろうか? システムを変えるということは、現場を変えるということだ。「あなたのやり方をよくできますよ」と指摘しその考えを採用してもらうことだ。しかしそれは理解されていない。
2006-01-17 21:13:39 / ふじさわ / Comment: 0 / Trackback: 0

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