メッセージ。 - 昨日会社に行こうと電...
# 昨日会社に行こうと電...
昨日会社に行こうと電車に乗ったら、
小さな珍しい客人がいるのに気付いた。
所在なげに椅子に座っている
茶色いくしゃくしゃのおばあさんだ。
まるで獲物からかくれるリスのような息遣いで、
ゆらゆら視線を揺らして。
電車に乗る人下りる人。
その雑踏の隙間から、きょろきょろきょろきょろ
ホームや駅を覗いている。
「横浜ですよ。どちらに行かれるんですか?」。
いまにも声をかけてしまいそうになる。
ふと手元に目をやると、にぎりしめているおっきな切符。
熱海から川崎まで、か……。
それほど遠い距離じゃない。
ホームから滑り出した電車にアナウンスが流れる。
「次は、川崎。川崎です。」
お婆さんは、ほっと一息ついたけれども、
またすぐ不安気に、車窓の外を気にしはじめる。
たぶん、そうするだろうなと思ったとおり、
川崎のずっと手前で席を立って、じっと窓をにらんで。
川崎には、いったい何があったんだろう。
そんなに遠くない熱海と川崎、その距離を、彼女は
いったいどれだけの間想ったのだろう。
最後に見た彼女は、プラットフォームから改札へと
続く階段を、上っていた。ただまっすぐに上だけを見て。
小さな珍しい客人がいるのに気付いた。
所在なげに椅子に座っている
茶色いくしゃくしゃのおばあさんだ。
まるで獲物からかくれるリスのような息遣いで、
ゆらゆら視線を揺らして。
電車に乗る人下りる人。
その雑踏の隙間から、きょろきょろきょろきょろ
ホームや駅を覗いている。
「横浜ですよ。どちらに行かれるんですか?」。
いまにも声をかけてしまいそうになる。
ふと手元に目をやると、にぎりしめているおっきな切符。
熱海から川崎まで、か……。
それほど遠い距離じゃない。
ホームから滑り出した電車にアナウンスが流れる。
「次は、川崎。川崎です。」
お婆さんは、ほっと一息ついたけれども、
またすぐ不安気に、車窓の外を気にしはじめる。
たぶん、そうするだろうなと思ったとおり、
川崎のずっと手前で席を立って、じっと窓をにらんで。
川崎には、いったい何があったんだろう。
そんなに遠くない熱海と川崎、その距離を、彼女は
いったいどれだけの間想ったのだろう。
最後に見た彼女は、プラットフォームから改札へと
続く階段を、上っていた。ただまっすぐに上だけを見て。
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