メッセージ。 - メディアの役割はセグメントへのアクセスにこそある(んじゃないの?)
# メディアの役割はセグメントへのアクセスにこそある(んじゃないの?)
http://b.hatena.ne.jp/entry/http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0602/07/news066.html
はてなブックマーク - 「こんな時だからこそ安定したサービスを」——ライブドアの技術者魂
ITmediaの記事に対するはてなブックマークでの反響を、メディア観という側面で見てみる。
岡田有花さんが書いた記事なわけだけど、この人ぼくに立ち位置が似てる気がする。技術者に肩入れしてしまってるんだよな。「技術者からの好感をもたれたいがための記事」とか、「やっと大手メディアが取り上げた」とかいう評価もあるけど、そうじゃないと思う。岡田有花さんは「向こう側の人間」ではないし、ITmediaが「大手」なわけでもない。
たぶん真実を突いているのは「理系白書な感じ」だろう。この記事は、記者が自分の思い入れを込めて書いている。ライブドアに技術があることを、記者はきっと、多くの人に知ってもらいたいと思っているように感じるんだ(つまり記者は我々の側(がわ)にいる)。そこには骨のとおったジャーナリズムが感じられ、良いことだと思う。だけど逆に、岡田有花さんやITmediaがこちら側にいることは、心配のタネでもある。この記事は「ITmediaはブログの延長線」という評価を招かないかと危惧するからだ。
たしかにこの記事の元ネタは、はてなブックマークやブログだろう。だけどそれは当然のことだ。結局のところ、メディアの記者が情報収集に用いる手法は、一般の読者と変わらない。それはテレビの記者も雑誌も同じ。にもかかわらず、テレビや一般メディアが権威を持つのは、「一般人には手の届かない情報源を持っているだろう」という受け手の幻想だ。
この幻想を守ることで、メディアは権威と権力を維持できる。しかしこの記事(とそれを公開しているITmedia)は、「はてなブックマーク」という誰にでも手の届くメディアを情報源にしていると明らかにしてしまっている。これでは「情報源の特殊性」という幻想を維持できない。
端的に言って、岡田有花さんのこの記事はモヒカン的だ。自分が何も特別な武器を持っていないと明言してしまっている。しかし、「武器を持っていない」と明言できるのは、何か別の強い力を持つからこそだ。本当に弱い者は手の内を明かすことなどできない。
メディアにとっての手の内とは何だろうか? それは、その情報から遠く離れたところにいる人にも、それを届ける能力にこそあるんじゃないのか。たとえば、宇宙科学における発見を一般の人たちに伝える力が、メディアに備わった特殊な(一般の人は持たない)能力だ。その情報は、関係者にとっては当たり前のものだけど、そうでない人間にとっては特別なもの。そしてメディアの役割は、「そうでない人」に対して情報を届けることにほかならない。
ぼくが今回の記事で心配するのは、この記事が「そうでない人に対して届くのか」ということだ。ITmediaは大手のマスメディアではない。大手のニュースサイトですらないのではないか。IT系の人間の一部だけしかこれを読んでいない可能性も高く、だとしたらこんな記事を載せることは、自らの首をしめるだけでなんのトクにもならない。権威を落とすだけで、本来記者が期待していただろう効果(技術者が頑張っていることを、技術者でない人たちに知ってもらうこと)がないからだ。
はてなブックマーク - 「こんな時だからこそ安定したサービスを」——ライブドアの技術者魂
ITmediaの記事に対するはてなブックマークでの反響を、メディア観という側面で見てみる。
# 2006年02月08日 tsysoba tsysoba 『[ICT]理系白書な感じ』# 2006年02月08日 know94space know94space 『一番得したのは、ITメディア。技術者からの好感をもたれたいがための記事。技術者万歳の無理やりな感じしかしない。』# 2006年02月07日 chihiroy chihiroy 『[ニュース] 素直にエールを。そろそろテレビ屋さんも一局くらい、こちらを報道したらどうなんですかね。』# 2006年02月07日 ululun ululun 『おまいら、記事の中身じゃなくて記者で分熊してるだろ』# 2006年02月07日 tomioka_hiroshi tomioka_hiroshi 『IT戦士が書いてなければITmediaを見直したところだけど完全にはてブの後追いだしなぁ。それにしてもこの会社の技術力は素晴らしい。ユーザーを驚かせるようなサービスはあまりないけど、サービス提供力はずば抜けている』# 2006年02月07日 takahanomori takahanomori 『[メディア]つねに自分が多数派を代表していると妄信しているマスコミやワイドショーこそ虚業』# 2006年02月07日 tomozo3 tomozo3 『[itmedia][livedoor]良い記事。しかし、メディアにブログが引用される時代になってきましたねぇ。[nipotanがんばれ!]』# 2006年02月07日 nas0620 nas0620 『[ライブドア][news]やっと大手メディアが取り上げた。。。ちょっと感動。』# 2006年02月07日 enemyoffreedom enemyoffreedom 『[web][ビジネス][事件][全米が泣いた]』# 2006年02月07日 daddyscar daddyscar 『[livedoor]livedoorの技術の話がITmediaに。2月1日に入社って、最速の人のこと?』
岡田有花さんが書いた記事なわけだけど、この人ぼくに立ち位置が似てる気がする。技術者に肩入れしてしまってるんだよな。「技術者からの好感をもたれたいがための記事」とか、「やっと大手メディアが取り上げた」とかいう評価もあるけど、そうじゃないと思う。岡田有花さんは「向こう側の人間」ではないし、ITmediaが「大手」なわけでもない。
たぶん真実を突いているのは「理系白書な感じ」だろう。この記事は、記者が自分の思い入れを込めて書いている。ライブドアに技術があることを、記者はきっと、多くの人に知ってもらいたいと思っているように感じるんだ(つまり記者は我々の側(がわ)にいる)。そこには骨のとおったジャーナリズムが感じられ、良いことだと思う。だけど逆に、岡田有花さんやITmediaがこちら側にいることは、心配のタネでもある。この記事は「ITmediaはブログの延長線」という評価を招かないかと危惧するからだ。
たしかにこの記事の元ネタは、はてなブックマークやブログだろう。だけどそれは当然のことだ。結局のところ、メディアの記者が情報収集に用いる手法は、一般の読者と変わらない。それはテレビの記者も雑誌も同じ。にもかかわらず、テレビや一般メディアが権威を持つのは、「一般人には手の届かない情報源を持っているだろう」という受け手の幻想だ。
この幻想を守ることで、メディアは権威と権力を維持できる。しかしこの記事(とそれを公開しているITmedia)は、「はてなブックマーク」という誰にでも手の届くメディアを情報源にしていると明らかにしてしまっている。これでは「情報源の特殊性」という幻想を維持できない。
端的に言って、岡田有花さんのこの記事はモヒカン的だ。自分が何も特別な武器を持っていないと明言してしまっている。しかし、「武器を持っていない」と明言できるのは、何か別の強い力を持つからこそだ。本当に弱い者は手の内を明かすことなどできない。
メディアにとっての手の内とは何だろうか? それは、その情報から遠く離れたところにいる人にも、それを届ける能力にこそあるんじゃないのか。たとえば、宇宙科学における発見を一般の人たちに伝える力が、メディアに備わった特殊な(一般の人は持たない)能力だ。その情報は、関係者にとっては当たり前のものだけど、そうでない人間にとっては特別なもの。そしてメディアの役割は、「そうでない人」に対して情報を届けることにほかならない。
ぼくが今回の記事で心配するのは、この記事が「そうでない人に対して届くのか」ということだ。ITmediaは大手のマスメディアではない。大手のニュースサイトですらないのではないか。IT系の人間の一部だけしかこれを読んでいない可能性も高く、だとしたらこんな記事を載せることは、自らの首をしめるだけでなんのトクにもならない。権威を落とすだけで、本来記者が期待していただろう効果(技術者が頑張っていることを、技術者でない人たちに知ってもらうこと)がないからだ。
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